火曜日の夜のコト。とてもいやーな仕事でヘロヘロになって、その後会議。ナニ言っても否定されんのでナニも言わずに黙ってれば、それはそれで怒られる。諦めちゃいるが、ため息ぐらいでるってモンでタイムカードをガチャりとした後、同僚と赤提灯の暖簾をくぐって愚痴を肴にビールをちびりちびりとなめる。
同僚のKさんはオリのイッコ年下の先輩だ。先輩っていっても一週間オリより早くいたってだけだが、先輩は先輩だ。オリはそういうトコはうるさいタチなんで年下でも常に敬語である。Kさんも先輩なのに年下なんでオリには敬語である。オリはこういう人、けっこう好きだ。お互い敬語だが仲がいい。Kさんは可愛い奥さんに二人の子供の教育にいつも思いを馳せるいい奴だ。酔うとカラオケにいきたがり最近流行りのバラードを熱唱するのが玉に傷だが。個室に野郎二人でバラード熱唱されてもどういうノリで対処してえーものやら、いくら引き出しの多さが売りのオリでもドコ引けばいいのかわかんなくなるモンなのだ。しかもオリより歌がとても上手い。
とにもかくにも、この不景気のご時世、ドコかしらで必ずや繰り返されてる、サラリーマンによる、サラリーマンの為のザッツ・愚痴が、今宵もほのかに暖かく光るあの赤提灯に吸い取られていくのだ。あーだこーだと会社に上司に現場のオペレーターにパートのおばちゃんに強烈なダメ出しをして、まっ、明日も頑張りまっしょっい。って結論を無理矢理引っ張り出す。これがサラリーマンライフをサバイブする為に身につけざるえない、いやーな処方箋なのだ。
で、いつものごとく、カラオケいきましょーよ、ってKさんにいわれたが、オリは次の日、夜遅くまでバンドの練習で昨日の夜も遅かったので、イヤーっ、今日はこれにて、拙者、ドロンつかまつります。って家路に着いた。
10時ちっと過ぎに家に付き、今日はハヨ、クソして寝よ。って、寝巻に着替えようとした時、電話が鳴った。タケマンからだった。おう、タッキー、翼は元気か?なんぞ用か?って普通に受けたが、ディーの字、お前、今、ドコでナニしてんの?と半ギレ気味でいわれた。タケ・マンソン、通称バンブー。リアル・黒髭危機一髪な男。先輩でもなければ年上でもない男にタメ口で半ギレされる云われは、いくら同じバンドメンバーとはいえドコにもないわけで、まったくもって解せないが、まぁ、ここわ、中小零細企業のすっちゃらかサラリーマンライフを満喫するオリは、冷静に応対してやった。オウ、オレは今から屁ーコいてマスコいて寝るだけじゃ、邪魔せんといて。って。したら半ギレどころかキレまくった怒声で、今日は10時からスタジオじゃ、ナニさらしとんじゃ、オノレは!次のスタジオ決める時、ワシはオノレに何回、メモっとけ!って言ったとおもうんじゃ!11時までにこなかったらクビだかんな!クソボケ!ちなみに、リーダーはめちゃくちゃ怒ってっかんな!…とのコ
ト。マジで樽から飛び出すんじゃねーの?ってな勢いだった。
アレ?スタジオ練習ってここ最近、水曜日の夜じゃなかったかしら?って思っても後の祭なわけで、忘れてたオリが完璧に悪い。
こういう場合、自分がナニか白昼夢を彷徨ってるがごたるボーってなってしまうコトがある。タバコを吸ってボーっとしてる自分に気付いて、アレ?なんでオリ、悠長にタバコ喫んでやろ?…、みたいな。とにもかくにも、マズい。酒飲んでるから運転できないし、11時に中野のスタジオなんて、電車じゃぜってー間に合うわけねーよ…。ほへーっ、クビか…。ここ最近のオリってば、本番前のリハはすっぽかす、酔っ払う、本番前にウンコもらす、酔っ払う、本番中、自分で書いた歌詞を忘れる、酔っ払う、本番後、金を借りる、酔っ払う、借りた金で酔っ払う、スタジオ練習をすっぽかす、酔っ払う、といった具合である。
危ういな…。マジで危うい。この非常にマズイ状況を打破すべくオリは引きこもりの実の兄を脅しあげ金を巻き上げタクシーに飛び乗った。
11時10分くらいにスタジオに到着。メンバーの白々とした視線。パジャマにサンダルのオリ。が、しかし、オリはモッツのアホと違って、逆ギレはしない。このゴに及んでそのような態度はナニも生み出しはしない。こういう場合、素直にあいむ・そーりー。素直に土下座で・そーりー。でありんす。こういう時にこそ、その人が持つ人間力が試されるってもんだ。酒臭い息で、メンゴっ!これが大人の男である。
で、こういった時のこのバンドの集中力はたいしたもんで、死んだスカイ・サクソンに捧げるべく、やったコトのないシーズのカバー曲を30分くらいでモノにした。切羽つまんないとダメなんだろうか?オリがゆーべきコトではないが…。
ちゅーっわけで、次のライブはマイケルなんかにゃ捧げない!京都でスカイ・サクソンの為に歌うよ、ショボ兄に聞こえるように、声を張り上げて!
それでは日曜日、京都で会いましょう。

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