ゴーギャン展を見た。我々はどこから来たか・・・の大作はさすがに隅々まで神経の通った力強い表現であった。そのほかの作品も彼らしい色彩と魅力的なタッチに満ちている。構図上の冒険も結構見られて、新鮮表現性を感じさせる。
彼は実物を見て描いたわけではない。大方は空想や記憶に頼って描いている。スケッチを元にして描いたものもあるが、中には写真や絵葉書に寄って描いているものもある。赤いバックの有名な自画像があるが、これは明らかに写真に従って描かれていて(芸術新潮参照)、姿勢や服装はそっくりそのままである。
しかし顔は全く違う。写真ではこちらを向いたごくありふれたおっさん顔がそこにあるが、自画像では顔の向きも少し違うし、ずっとかっこいい芸術家らしい、また伝説のゴーギャンを髣髴とさせる精気と逞しさをもった顔になっている。顔だけは鏡を見て一番かっこよく見えるアングルを探し、相当に理想化して描いたのではないかと思われる。換骨脱胎というべきかと思うが、しかし作品としてみればやはりかっこ良いほうが良い。かっこよさのうちには配色と構図が決まっていることも大きい要素だ。顔の角度や大きさなどが上手く画面に適合している。
写真と絵画の関係を考えさせるには良い作例だと思われる。

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