あなたの「I wanna be your dog」は、本当に素晴らしいです。
ゆったりとしたテンポなのにピリピリと鬼気迫るニオイ、そして思い切りの良い単純なフレーズの繰り返しと、その色っぽさ。
初めてギターを手にしたその日から鏡の前でロックスターのポーズを決めて弾ける曲。
そんな憧れを秘かに込めて、アタマからケツまでGとCの2つのコードだけで曲を作ったトコロ、偶然にも我がバンドの天才作詞家イギー・トックが犬を題材に詩をつけてくれました。
余談ではありますが、彼の天才作詞ぶりは、最近カヴァーしているヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「White light/White heat」を「地震・雷・火事・親父」と意訳しているあたりでもハッキリと感じ取る事ができます。
2コードのその曲は、知り合いの愛犬の名前から「カンタのバラッド」というタイトルを飼い主に無許可でつけました。
ところが突然、その天才作詞家がタイトルの変更をライヴ当日に言い出しました。
「クリトリスにバターを」 これが、そのタイトルです。
とある小説の原題(初期案)だったようで、風呂に入っている時か、仕事さぼってポカーンと鼻くそをほじくっている時か、とにかく雷に打たれたごとく閃き震えたらしく、「アイツの雪辱をオレが晴らしてみせる!」と、意味不明な使命感を鼻息荒く宣言していました。
新しいタイトルを聞いた他のメンバーの驚きや戸惑いにも一切構わず、「これじゃなきゃ、オレは絶対歌わねぇ。他の奴にも歌って欲しくねぇ。」と豪語し、もちろんイントロ部分にもお涙頂戴的な糞セリフをつける事も許されず、代わりに「Walking the dog」のイントロを「キング弾いてよ、犬の歌だから丁度いいんじゃねぇの」と言う理由で継ぎ足す事になりました。
その日のステージでは反応も良く、「ゆったりとした犬の曲いいね。新曲?」と、ライブ後、何人かの人に聞かれたので真摯にタイトルを教えてあげました。
この事件からひと月経過した今、「クリトリスにバターを」は、素直にいいタイトルだと思うのですが、イギー様はどう思いますか?

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