しつこいようだがオリは銭湯が好きだ。
昨日もいつもの銭湯にいつもの如くひとっ風呂いってきた次第なわけだが、ここの銭湯は行くと必ず変な奴がいる。
ここの銭湯は4っつの風呂スペースと体を洗うスペースとスチームサウナ、泥風呂っていってドロドロのなんか泥色の柔らかい粘土みたいなのがスイッチを押すとぐるぐる回るっていう、美容に最高!特許出願中!っていう風呂があったり、予約別料金で砂風呂があったりと、見かけ昔ながらの銭湯だが施設投資に張り切ったなかなかの営業努力をしてはる下町の公衆浴場なんだが、いかんせん、設備の自慢がうるさい。っていうか、たらたら店主の達筆な手書きで、達筆すぎて何書いてんだかさっぱりわからん昔の文字で、あーだ、こーだ、といちいちうるさいんよ。で、それが逆効果というか、なんか貧乏臭さを辺りに漂わせてしまってるんだな。スーパー銭湯に負けない設備!みたいな文句を達筆な手書きで堂々と貼り出してしまうと、なんか客は逆に悲しくなるというか、あー、オレはスーパー銭湯にもいけない貧乏な男で、いけないだけならまだいいがこんなスーパー銭湯もどきのチープな銭湯でスーパー感をなんとか味合おう、なんて、まったくもってちっちゃい男であるよのう。なん
て考えてしまうこともなきしにあらずだがオリはよくいく。で、けっこう繁盛してる感じもする。
で、ここの目玉設備ってのが風呂スペースの横にドアで仕切られた広い別室があって、そこには15メートルくらいのプールがあるのだ。広い水風呂ではない。プールなのだ。
銭湯にきてひと泳ぎしましょう。というのはなかなか思いつかないコロンブスの玉子、略してコロ玉な考えだ。が、いい大人はもちろん利用しない。大人仕様のプールにしては小さすぎる。だもんでもっぱらガキ達の遊び場になっとるわけなのだ。休みの日なんて、いや、しかし、半端ないくらいガキ達がひっきりなしにギャーギャーいって遊んどるのだ。
そいった感じでけっこう繁盛してんだよね。
だもんで、時間を間違えるとガキばっかでスゲーうるせーので落ちついて風呂に浸かるコトもなかなかに難しい場合も多々ある。オープン時間の夕方3時半ぐらいからの1時間を逃すと7時くらいまではキッズ・アー・オーライト・タイムになってしまう。オリが推すに、4時の、よい子はお家に帰りましょう放送の後、帰宅したガキ達はまだ遊びたりねー。って感じで夕飯前にかーちゃんにせがんで今日は銭湯いってきていい?なんつって銭湯のプールで遊びの締めにかかんだな。見るとガキ達は水中メガネ持参で水風船やら水鉄砲やら持ち込んでどいつもこいつも大はしゃぎだもんな。
と、いうわけで昨日、オリはオープン時間を逃してしまったので7時ぐらいに銭湯にいったわけなんよ。
ガキはもうほとんどおらず客は3人くらいでなかなかに落ちついて湯船につかっていたオリはナニを思ったのか、そーいや最近運動不足だもんで、ちと泳いでみよか。なんつってプールの一室にドアを開けて入った。
その瞬間、オリのマナコに映された光景とは、小太りな頭が禿あがったオッサンとちとやせたオッサン同士がプロレス技を掛け合ってキャッキャッ言いながらザパーン、ザパーン、ってしてる最高気色悪い地獄絵図であった。やせたオッサンは完全に勃起してた。
恐怖におののいたオリはドアをバタンと閉め体もよー洗わずそそくさと銭湯を後にした。帰りぎわに番台のジジイに、プールでホモ共が体をまさぐりあってんぞ!どうにかせい!って苦情を言おうかと思ったがジジイも、もしやグルか?と思い立ちナニも言わずに逃げてきた。
ガキの頃、まだオリの家には風呂がなく毎日銭湯にいってた。もう潰れてなくなったが、いつもいってた銭湯では、たまにウンコがプカプカ浮いていた。番台のおばちゃんに言うと、おばちゃんが桶ですくって、ウチは掛け流しだから大丈夫だよ!なんつってミンナ何食わぬ顔してその湯船につかってた。なんて記憶がある。
あれから何年。オリの家には風呂がある。銭湯から帰ったオリは自分家の風呂でなぜかも一度シャワーを浴び体を洗って気を落ちつかせた。
しつこいようだがオリは銭湯が好きだ。もちろん、またいつもの如く何食わぬ顔してあの銭湯にいくであろう。しかし、いつもいくたんびナンなんだろうか?。
まっ、ちっちゃいコトは気にすんな!ワカチコ!ワカチコ!

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