モジモジと恥じらうあの娘の様に赤や黄色に頬を染める晩秋の山々をスリ抜けて金沢へと向かう車内の事。
シレ〜と渋滞にハマリつつ、退屈が絶頂期に達した頃合を見計らって頼れる助っ人、ハヤティーヌが突然『なぞかけ』というインテリジェンスなインネンを、天才詩人トクDにふっかけてきた。
「それじゃ、トクさん…」と、至極シンプルで唐突な前置きを踏まえてからハヤティーヌはハンドル握るトクDに
「『ストゥージス』と、かけまして…?」
と、吐息まじりな耳打ちをキメ込んだ。
すぐ横の助手席から何の前置きもなく発射されたトンチ核弾頭に、急ブレーキこそ踏まなかったが、センターラインをはみ出して急ハンドルを切るくらいの動揺を見せつつも「あぁ、ハイハイ」と天才詩人の貫禄でトクDがそれに応えたカウンターパンチは
「『のたうち回るイギー・ポップ』ってトコかなぁ」
との事。
まだ見ぬオチという快楽に酔いしれるべく期待に胸を踊らさて、車内全員が一丸となって「そのココロは?」と叫んだトコロ、トクDが産み落とした至高の回答が
「『スゲェ、かっこいいい』…うん」
だって。
ストージス
のたうち回るイギー・ポップ
スゲェ、かっこいい
「なんじゃそりゃ!アホなアイドルが無駄に思わせぶりに綴る改行だらけのブログじゃねぇか!」
と、車内は天才詩人らしからぬ言葉の超低空飛行に怒りを感じて、一瞬にして窓ガラスが曇りまくるほどの大論争。
「お前、マジか?」
「黙秘っちゅう道は考えなかったのか?」
「『なぞかけ』って知ってる?」
…等々。そんな怒号が飛び交う緊急事態にあわてたヤッコさんが、起死回生に思いっきり振りかぶって打ち放った『なぞかけ』が
「『カレー』をご飯にかけましてぇ〜、そのココロは『ウマイ』。トクッチです」
だったとか。
久方ぶりの遠征。
ステージはモチロン。退屈な車内でも、助っ人メンバーによる新しい発見を存分に楽しんでいる今日このごろ。

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