デッサンというと白い無表情な石膏像を思い浮かべて、「それらのきちんとした形のものを、一定の法則にしたがってきちんと描かねばならない。同じものを描けば、誰が描いても同じように仕上がらねばならない」という風に思い込んでいる人が多いのではないでしょうか。そこで先生や大家の描いたお手本を求めたりするのですが、それでよいのでしょうか。
鉛筆で線を一本引いても、手の大きさや鉛筆の持ち方や筆圧の違いがあって個性が出ます。使う材料に対する好みもまちまちでしょうし、線の表情や明暗の強弱も人により好みが違います。ですから同じモチーフを同じ紙に同じ材料で描いても、異なった作品が出来るのが当然です。デッサンにも個性が表れてかまわないのです。むしろいろいろな描き方や材料を試みてみて、自分に合った表現方法を見出すことが大切です。

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