市民のための美術入門２、デッサンのすすめ

　モチーフの選定も基本的に個人の自由に任されています。石膏で出来た幾何形体などは、形を正確に観察したり明暗のトーンを正確に見分けたりするのには好都合かもしれませんが、なかなか興味を持って見つめる気にはなれません。神経を集中でき簡単には見飽きないような対象を描く方が良い作品が出来るに決まっています。モチーフには愛を込めて描きたいものです。
　日ごろ使い慣れて親しんでいるものや、興味を持って見ているものからモチーフを選んでください。樹木や草花、野菜果実なども良いでしょうが、自分の使っている衣装や靴や道具類や機械類、車等もよいモチーフになります。山登りの好きな人にとっては山が、目下恋愛中の人には恋人の顔こそが最高のモチーフになるはずです。ただし入門的基礎デッサンのモチーフとしては、ある程度単純な形や色のものの方がよいでしょう。基本的な立体である直方体や円筒に近い形のものから始めるのが良いでしょうが。