ハッチングというやり方があります。同じ調子のタッチを平行に並べて、そのタッチの密度の違いで調子の変化を付けるやり方です。もともとエッチングなどの銅版画やペン画で用いられていた技法です。この方法の利点は同じ強さの直線を同じ間隔で並べることで、均質な色面を得られることです。平面の感じをきちんと出したいときに向きますし、曲面の感じもタッチの方向や間隔の工夫で整然とした感じで表すことが出来ます。基礎デッサンなどで、それぞれの面の向きや明暗のトーンをきちんと描かねばならないときには、このハッチングが有効です。
鉛筆は絶えず先を削って使わねばなりません。鉛筆削り器でもよいのですがカッターナイフなどで手で削る方が、自分の好みに合った削り型が出来ます。太く柔らかい芯は太めに、細部の仕上げ用は鋭利に尖らせるなど、また腹を使って描くものは芯を長く出すほうがよく、木部も同じ角度で削りだす必要があります。面倒でも削り方に慣れるように練習してください。
紙もとくには選びませんが、丁寧な仕事をしたければケント紙などの表面の平滑なものがよく、大雑把な味を生かすスケッチなどには目の荒い紙が向くでしょう。基礎デッサンの段階では模造紙や西洋紙などの薄い紙でも、文具店やスーパーに売っている普通の画用紙でも十分ですが、鉛筆のノリの良しあしがあります

2