古代ギリシャの時代あるいはそれ以前から、人体のプロポーションを基にした黄金比と言う考え方が用いられてきました。誰が見ても美しいと感じる形態の比例関係があるというのです。
そこで例えば西欧文化の中で最も美しい建造物として知られるアテネのアクロポリスの丘に立つパルテノン神殿は、全体の構造から細部にいたるまで12:√5の比例関係に基づいて建てられていると言われます。また古代ギリシャの彫刻家たちは完全の美を求めて、人体の最善のプロポーションを追求しました。美と愛の女神のアフロデイテ(ヴィーナス)や日の神アポロンなどの姿を作る前にまず、最も美しいと見られる女性や若者たちを集めて身体各部を計測し、その比例関係を計算してから造形を始めたと言われます。顔を作るときには真正面から見て盗聴からあごの先までの丁度真ん中に目の位置が来るとか眉根殻あごの先の中間に鼻の先が来るとか、鼻の先からあご先までの3分の1のところに口があるように作ればよいといったことです。
臍の位置とか足の長さや顔の大きさと言った全身的なプロポーションも繰り返し研究され、16世紀のルネッサンスではかのレオナルド・ダ・ビンチが、20世紀では代表的な建築家のル・コルビジェが、人体を基にした完全な美の比例関係のものさしを作っています。
また人体に限らず、自然の中の美しい形は皆一定の比例関係の組み合わせでできていると言う研究もあります。花や木の葉や魚の形などの美しい形のことです。

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