セザンヌの有名な言葉に「自然は円と円筒と円錐から成り立っている」と言うのがあります。この言葉が若かりしピカソやブラックたちの解釈によってキュービズム(立体派)を生み出し、あるいはモンドリアンのような抽象絵画につながって行って、20世紀美術の改革の原点になることになるのです。
まずものの形から雑多な細部を取り除いて、基本的な原初的な形に戻すこと、それに基づいて空間を構成しなおすことが大切だと言うことです。この言葉は今でもデフォルマションの基本的な手がかりとして生きています。セザンヌは円と言う言葉で実際には球を意味していたようなのですが、ここでは彼が平面的な幾何学的な形ではなく立体的な形を挙げていることに、彼らしい奥行きや立体感を重視する空間の見方が表されています。
しかしとりあえず円や三角形や長方形や直角や平行線と言った幾何学的な形体に単純化することから始めてみてはいかがでしょうか。単純化された形体を、プロポーションやリズムの感覚で調整しながら再構成してみる辺りから、デフォルマションの実験に入ってみましょう。

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