2009/6/22
映画でも名作と言われるものは、そのショットの一つ一つがみな構図に配慮が払われ、画面の隅々まで神経がとおっています。テレビのドラマなどでも、なんとなくひきつけれられる画面に出会ったら、その構図を考えて見てください。
写真を趣味とする人は多いのですが、構図の決まった良い写真にめぐり合うことは、なかなかない様です。美しいものを撮ればそれで美しい写真ができると言うものではありません。画面全体の中で、あるべき形(色彩)があるべきところにあるべき様にあることが大切です。
その点で最も優れていたと思うのはカルティエ・ブレッソンでした。一瞬のスナップと思われる写真でも、画面の(つまりファインダーの)隅々まで神経が通っているのでした。彼の写真はフィルム画枠のの周辺まで含めて、現像され発表されました。つまり彼の作品は常にノートリミングだったのです。
このような感覚を鍛えるにはデッサンが一番効果的なのです。ブレッソンもはじめは画家になろうとして勉強したのです。彼には明らかにデッサン力があったのです。ただしただ正確に対象を描写する技術だけを学ぼうとするようなデッサンでは、意味がありません。対象を周囲も含めての空間の中できちんと把握する力を養うようなデッサンが、本当の「役に立つ目」を養うデッサンなのです。
常に対象の部分部分を他の部分と相対的な関係で見ようとすることで、一瞬の内にファインダーの中の空間にある全ての形や色彩を認識し、その効果的な関係を読み取る力が養われるのです。

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