理想的な形の公募展の姿を追求してきた汎美展が昨日で終わりました。今回も多士済々の実に変化に富んだ自由で意欲的な楽しい会場でした。会員の推薦を基本とする出品者の作品を審査なしで展示する、一人5メートル幅までの壁面を自由に使える、もちろん立体作品でも良い、展示位置は公平に抽選に基づいて決定するなど、これまでの公募展にある重苦しい権威主義や階層的な人間関係を払拭する画期的な内容です。おかげで入場者も12日間で7000人を超えましたし、出品者も年々増え続けています。
それなのに5年毎の見直しを2年後に控えて、国立新美術館は2室以上の使用団体はそのままにして、我々の汎美展も含む一室使用団体を切り捨てる方針を打ち出しました。あらためて抽選を受けろと言うのです。内容の良し悪しには関係なく部屋数だけで差別する乱暴なお役所仕事です。一室使用の団体が集まって連絡協議会を作り館側と交渉して、抽選倍率を抑制する方法を引き出しはしましたが、再来週には抽選が行われます。汎美展ももしかしたら会場の使用権を失うかもしれません。
日展のような旧態依然の権威主義と階層制に凝り固まって動きの取れなくなっているような団体が、10室6週間も使っているのを温存して、汎美展のような良心的で革新的な新しい芽を摘むことに呵責の無い美術館の姿に、強い憤りを覚えます。

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