倉田アクション・クラブでスタントマンなんかをやってた時代では色々なお仕事をさせていただきました。
キャラクターショウから始まり、CMエキストラ、時代劇での端役、Vシネマ、バラエティ番組等。
この時代はちょうどアクション作品そのものが下火になっていた時期で、トレンディドラマなどが主流の時代。
アクション自体のお仕事なんかはホント稀で、年に数本あるかないかという厳しい時期でした。
そんな中、一番大きかった仕事が2本。
自分たちが呼ばれる作品なんかは一瞬映るかどうかなので、台本なんかはほとんどもらえないのが当たり前。
でもこの2本だけは台本をもらえてしまったほどの大きな仕事でした。
1つは全国放送の2時間ドラマで金田一耕助シリーズの「女王蜂」という作品。(古谷一行版)
自分が演じたのは犯人役の役者さんのスタント。
劇中、3人を殺していく犯人。
般若の面を被り、十二単のような着物で立ち回ります。(この衣装着てる時は全て自分が演じてます)
とにかく衣装がめちゃくちゃ重く、面もほとんど視界ゼロ。
そんな重い衣装でしたがあるシーンでは「2階から飛び降りろ」と言われたりしました。(ちゃんと飛び降りたけど)
で、面白いのはちょうどこの時期にプロレスラーの“ザ・グレート・ムタ”に大ハマりしてまして、その時の動きをこの作品での演技に反映。
動きがモロに“ザ・グレート・ムタ”!
般若の面を被って着物着てたらやはりあんな感じに意識してしまいます…(^^;
今観たら笑えるけど…┐(´д`)┌
しかしこの現場、かなり厳しくてここで経験したこと全てが(悔しい思いや仕事に対する厳しさ等)今の自分の全てに繋がっていると思えるほど人生の中のターニングポイントでした。
そしてもう一本はVシネマの時代劇「美女奉行 おんな牢秘抄」という作品。
大岡越前の娘が冤罪により牢屋に入れられた女たちの濡れ衣を晴らすために奮闘するという作品。(大岡越前:大和田伸也)
ここで演じたのは冤罪により捕まった女の人のスタント。
曲芸師という彼女。(ギリギリガールズ:荒井由美子)
台本によると玉乗りをしないといけないらしく、しかし玉乗りをしたことがない…。
話によると制作会社がまずはこの玉乗りのシーンのために日本にある有名なサーカスに連絡。
しかし玉乗りそのものが芸が古く、玉乗りを専門にした人がいないという理由で依頼を拒否。
そして各映画会社にも玉乗りが出来る人を探してもらったけど見つからず…。
ちょうどこの作品に全面的に絡んでたJAC(ジャパン・アクション・クラブ)にも聞いてみたものの誰も出来る人がいない。
で、このシーンを削ろうか悩みながらも倉田プロに連絡をして自分がその仕事を受けることになったという訳。
打ち合わせの為に京都の撮影所に行き、玉乗りの玉を見せてもらった後で練習させてもらえることになり、一人で練習してみると何と1時間くらいで方向転換やバック移動、ジャンプなど出来るように!
制作の方と助監督さんに見てもらいOKが出て後日撮影。
制作の方からも「ホント助かりました」とお褒めの言葉をいただけました。
この時の印象がかなり良かった為に何とその場で別シーンのスタントの依頼も受け、1日で撮影。
その後出来上がった作品を観て驚きました。
たった2シーンの出演(しかもスタントの出演)だったのにエンドロールに自分の名前が!
スタントで個人の名前が出ることはほぼ無いのに、余程のことだったんだと実感。
この2作品はホントに印象的なお仕事でした。