※ネタバレ注意
今日は「レディ・プレイヤー1」を鑑賞。
この作品は、全人類がバーチャル・リアリティの世界“オアシス”で繰り広げられる賞金5000億ドルの争奪戦を描いたアドベンチャー作品。
監督はスティーヴン・スピルバーグ。
出演は「X-MAN:アポカリプス」のタイ・シェリダン、オリヴィア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ他。
アメリカで予告が流れた途端、一気に話題となったスピルバーグ監督の話題作がいよいよ日本でも公開!
先日、13年ぶりの来日も果たしました。
原作はアーネスト・クラインによる小説。
クラインは本作の脚本も手掛けています。
色鮮やかな映像に80年代のポップカルチャーを中心に様々な隠し要素を取り入れ“スピルバーグ流エンタメ”を表現。
冒頭のヴァン・ヘイレンの“JUMP”からテンション上がりまくりです!
劇中、いたるところに登場する映画やアニメ、ゲームのキャラ。
特に映画ネタに関してはスピルバーグ監督からの挑戦状のように感じます。
登場キャラやアイテム、セリフ等挙げたらキリがないのであえて取り上げませんが、例えば第2の鍵の試練での“原作者が嫌う映画は?”というヒントに真っ先に思い浮かんだのはスティーヴン・キング原作の「シャイニング」。
原作と違う内容で映画化してしまったスタンリー・キューブリック監督にスティーヴン・キングが激怒したという有名なエピソードがありますが、その“「シャイニング」”ネタが本編に登場!
これには驚き!(←まさか「シャイニング」がそのまま登場するとは思わなかったから)
双子や血の洪水、237号室、迷路の庭、写真に取り込まれたハリデーの姿(元はジャック・トランス)などがそのまま描かれていて、「シャイニング」ファンにはたまらないシーン!(一番興奮したシーンでした)
その他にも「市民ケーン」での“バラのつぼみ”が本作の重要なキーにもなってたりと映画の知識が無いとただの“隠しキャラ”探しの為だけの映画だと勘違いされそう…。
特に日本人にはめちゃくちゃテンションが上がる“ガンダム vs メカゴジラ”のシーンは鳥肌もので、森崎ウィン演じるダイトウのアバターは何と三船敏郎!(原作ではウルトラマンが登場するらしいのですが、権利の関係で本作には登場せず…。残念!)
隠しキャラばかりが話題になったので、今回のレビューは、本作におけるスピルバーグ作品の特徴をちょっとだけ紹介。
スピルバーグ作品の特徴の一つに自身のルーツを必ずといっていいほど作品に落とし込んでいることが挙げられます。
ユダヤ系の家庭に生まれ、思春期には両親の離婚を経験し、学習障害により読み書きを覚えるのも遅かったためイジメに遭い、孤独な少年時代だったスピルバーグ監督。
「E.T.」ではシングルマザーに育てられた少年や「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」の孤児院で暮らす少女などスピルバーグ監督の幼少期に体験した孤独感が作品によく反映されています。(スピルバーグ作品では子供たちが主人公という設定が多いのはそのため。
「シンドラーのリスト」では自身のルーツとなるユダヤ人にスポットを当てている)
本作の主人公ウェイド・ワッツも間違いなくスピルバーグ監督自身を投影したものとなっています。(両親がいなく、叔母さんとヒモ男とで暮らしている。そういった意味では“オアシス”を開発したハリデーもスピルバーグ監督を投影。ハリデーは人付き合いが苦手なオタクとして描かれている)
スピルバーグ監督が少年時代に影響を受けたSFや過去の名作映画へのオマージュもスピルバーグ作品ならでは。
先にも書いた「シャイニング」やバラのつぼみ”(←これは現在スピルバーグ監督が所有)、三船敏郎(←ジョージ・ルーカスと共に敬愛)の他にレイ・ハリーハウゼンやヒッチコック(←スピルバーグ監督に多大な影響を与えた)へのオマージュ、過去にはディズニーの名作「ピノキオ」へのオマージュとして描かれた「未知との遭遇」や「A.I.」、「ピーターパン」へのオマージュ「フック」、「宇宙戦争」のリメイク等、自身が影響を受けた作品への愛がスピルバーグ作品には込められています。
本作はそんな名作映画へのオマージュを究極の形にしたもの。
本作は現代版「グーニーズ」のよう。
このような特徴を踏まえるとより本作を楽しめるかも。
個人的には最近のスピルバーグ作品の常連となったマーク・ライランスの役作りが凄いっ!
サイモン・ペッグは老けメイクしてもはっきり分かるのですが、長髪にしたオタク姿のマーク・ライランスは最初誰か分からなかったほど!(ライランス演じるハリデーの葬儀のシーンにも注目!)
今ではトム・ハンクスに次ぐスピルバーグ組を代表する俳優の一人ですね。(トム・ハンクスは「プライベート・ライアン」で組んで以来5度目のタッグ)
スピルバーグ組といえばもう一人。
様々なスピルバーグ作品で音楽を担当したジョン・ウィリアムズですが、今回は「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」の音楽を急遽担当したため本作では残念ながら降板。
アバターの他にも小道具やメカなどとにかく隠しキャラ(アイテム)が多すぎで、「これ、権利関係だけでも大変だっただろうな…」っていうのが正直な感想。
その大変だったであろう権利問題もスピルバーグの名前があったからこそ権利者もOKを出しクリア出来たのでしょう。
ちなみに冒頭のレース・シーンは原作にないオリジナルらしく、こういった演出はまさに“映画”ならでは!
ただ一つだけ不満だったのがラスト・シーン。
最近のスピルバーグ作品ではラストでいつもガッカリしてしまいますが、これもまた…┐('〜`;)┌