※ネタバレ注意
今日は「ポリス・ストーリー/REBORN」を鑑賞。
この作品は1985年の「ポリス・ストーリー/香港国際警察」から始まったシリーズ第10作目となる最新作。
監督&脚本&編集はレオ・チャン。
製作総指揮&主演はジャッキー・チェン。
どれだけ待ちわびたか…ジャッキー師匠の最新作です。
本作はSF的な要素が盛り込まれ、これまでにない"ポリスト"に!(ってか、"ポリス・ストーリー"ってタイトルなのは配給会社の戦略で、原題に"Police Story"と冠してない。原題は「Breeding Steel」)
今回の目玉はオープニングの約13分間のガン・アクション!
シリーズでのガン・アクションはかなり珍しく(1作目の冒頭や3作目にも銃撃戦はありましたが)、カット数も1700カットに及ぶほど。
師匠の作品ではかなりハードなものになっていたのが印象的。
そしてもう1つはオーストラリアのオペラハウスでのアクション!
世界初となるこのオペラハウスの屋根でのアクション・シーンは手に汗握ります!(181m!)
最近の師匠の作品は自身の"老い"を映画に反映させているところが特徴的で、前回の「ポリス・ストーリー/レジェンド」でもそうでしたが本作でも娘を陰から見守る父親を演じています。
内容は突っ込み所が色々ありましたが、別にSF要素が無くてもいい感じ。
それも「スター・ウォーズ」(敵のアンドレの見た目が仮面を外したアナキンみたいだし、アンドレの乗る宇宙船みたいなのはスター・デストロイヤーを意識か?)や「ウルヴァリン」(アンドレがナンシーの血を輸血するシーンはウルヴァリンがアダマンチウムを流し込まれるのと同じだし、再生能力なども同じ)など"何処かで観た"ようなものばかり。
ストーリーとしては良いのにこのSF要素がかなり邪魔をしてるように感じます。(しかもSF要素は敵の一味だけで、周りの建物や車などはいたって普通。)
しかし、常に新しいものに"挑戦"しようとしている師匠の姿勢は本作でも感じます。(最近でも「カンフー・ヨガ」でボリウッド映画に挑戦)
実際に本作もこれまでになかった"ジャッキー映画"だと思うし。
それでも劇中、これまでの"ジャッキー映画"らしい描写はたくさん見られ、オペラハウスの舞台でのアクションではマジックの小道具を上手く使ったバトルを披露し、オペラハウスの屋根からの吊り&滑り落ち(その後の細かい演技!)や台湾のアイドル、ショウ・ルオ演じるリ・スンがナンシーを守る為、(弱いくせに)ベルトを外しヌンチャクのように振り回し見栄をきった後にチンピラたちから「ジャッキー・チェンのつもりかよ!?」というセリフまで登場し、コメディ要素は前作より充実。
ここ最近の師匠の作品は若手俳優たちに見せ場をかなり設けていて、自身が前にあまり出ない立ち位置なのも特徴。(昔は自分が前に出ることを優先していた)
ショウ・ルオは本作のお笑い担当として見せ場を作り、師匠演じるリンの部下スーを演じたエリカ・シアホウはアクションを担当。
特に彼女はかなり難易度の高いアクロバティックな立ち回りをこなしていて、エンドロールのNGシーンでも怪我をしながら(血を流してた)も演技を続けていた姿が印象的!
しかも、何と本作の脚本にも関わっているらしく、多彩な一面も。
で、エンドロール恒例のNGシーンで流れたのは名曲「英雄故事」!!!(;゜0゜)
もうコレが流れただけで"ポリスト"になってしまう魔法みたいな曲!
最後の最後でテンションMAX!
しかもこの「英雄故事」、新しいアレンジになっていて(カッコよくなってる!)歌詞もどうやら北京語ぽい!
というのも、以前の広東語(バージョン)は中国圏では意味が通じないらしく(方言みたいなもの?)、中国圏で上映される為に全国でも理解出来るよう北京語(標準語?)で新たにレコーディングされたようです。
そんな師匠も64歳。
最近のインタビューでも「アクションは極力減らすようにしている。もちろんスタントマンも必要なら使う。この先の人生、車椅子で過ごしたくないからね。」と発言しているように徐々に"アクション・スター"から"性格俳優"へシフト。
本作でもその片鱗が随所に見られます。
師匠の映画の歴史は怪我の歴史でもあります。
頭部は未だに穴が開いていてプラスチックの栓がしてあり右の耳に聴覚障害が残っており、膝の軟骨は全く無くなりもう走れない状態。
普通に歩いてる時は時々くるぶしが外れます。
肩はボルトを打ち込まないといけないけどやりたくないのでほったらかし。(他にも挙げたらキリがないが…)
身体はすでにボロボロで、我々が想像している以上に酷い状態。
それでも劇場に足を運ぶファンのために身体を酷使し、あれだけのことを魅せてくれ喜ばせてくれています。(本作で見られるようなアクションも普通の人では無理だろうけど)
パンフにも師匠の印象的な言葉が。
「53年続けてきて100回はやめたくなった。理由は無数にあった。疲労、負傷、誤解…云々…」。
この言葉を見て改めてNGシーンまでしっかり目に焼きつけ、「自分はあとどれだけ"ジャッキー映画"(アクション・スターとしての師匠)を観れるのだろうか…」と考えたら、やはり本作をはじめ、この先はどの作品も宝物のように大事に観ていきたいなと感じたのであります。
唯一無二の存在。
楽しめたけど、何だか涙が…。