※ネタバレ注意
今日は「アリー/スター誕生」を鑑賞。
この作品は、スターの階段を駆け上がる女性シンガーの栄光と挫折を描いたドラマ。
監督&脚本&製作&主演はブラッドリー・クーパー。
出演はレディー・ガガ、アンドリュー・ダイス・クレイ、サム・エリオット他。
1937年に製作された名作「スター誕生」(「スタア誕生」)をレディー・ガガ主演で3度目のリメイク。(本作で4本目)
レディー・ガガの初主演作品として話題となってますが、個人的には本作で監督デビューとなったブラッドリー・クーパーに注目!
元々、クリント・イーストウッド監督&ビヨンセ主演で企画されていた本作は、ビヨンセの妊娠により白紙に。
クリント・イーストウッドからブラッドリー・クーパーが引き継いだ形となりようやく完成。
1937年版は映画業界が舞台でしたが、1976年版では映画業界から音楽業界にシフトしていて、本作はこれを基本にリメイク。
今回の2018年版は1937年版や1976年版等へのオマージュを感じる部分が多々あるものの(アリーが鼻のことを言うのは54年版のオマージュ等)過去3作品で"エスター"という名前だった主人公の名前を"アリー"に変更。
この主人公の"名前"というのが「スタア誕生」ではかなり重要なのですが、本作ではアリーの音楽スタイル(!?)で自身のアイデンティティーを表していたのが正直分かりづらかった…。
ちなみにブラッドリー・クーパー演じるジャクソン・メインは1937年と1954年版のノーマン・メインをもじっていますが、どうやらパール・ジャムのエディ・ヴェダーがモデルらしい。(ジャクソンの音楽がグランジとはかけ離れていたのでこれは意外だった…)
ライブ・シーンはどれも素晴らしい出来で、前半の"Shallow"を二人で歌うシーンは圧巻。
演技経験の無いレディ・ガガ(まぁ、当然ながら演技も上手いとはいえないが)ですが、ライブ・シーンでは見事な歌唱力を披露。
いやぁ、さすがです。
劇中で使われている楽曲もブラッドリー・クーパーがウィリー・ネルソンの息子であるルーカス・ネルソンに依頼し、ルーカスがレディ・ガガと二人で書いたとのことで、どれも名曲ばかり。
ちなみにジャクソンのバックバンドはルーカスのバンド"ルーカス・ネルソン&プロミス・オブ・ザ・リアル"が担当。(ルーカスはギタリストの役で登場。)
で、個人的にはアリーがエディット・ピアフの"La Vei En Rose"を歌い、ジャクソン・メインと出会うシーンが秀逸。
レディ・ガガの歌唱力がいかに素晴らしいか分かるのがこのシーンだと思います。(こんな曲が歌えるのもトニー・ベネットと歌った経験が生かされているのかも!?と思ってしまいます。)
ただ、どうしても分からない演出が一点。
ラストでジャクソン・メインが死んで、アリーが自宅に飾ってあるポスターを壊すのですが、最初このポスターはアリーのポスターを壊したんだと思ってました。(スターになり昔の自分から駆け離れてしまったことへの自責の念)
しかしよく見るとポスターには"ジャクソン・メイン"と書いていて、ただ単に自殺してしまったジャクソンへの怒りだったんだと知り、急にアリーが普通に見えてしまった…。(怒りの感情なので、演出としては普通すぎて物足りなさが…)
1937年版はエスターという名前を再び名乗り自分自身を取り戻すという意味が込められていますが、これによりジャクソンのポスター破壊シーンからの追悼コンサートでのアリーの決意があまり感じられなかったのが少々残念。(といいつつ、あのラストで歌う"I'll Never Love Again"には号泣)
そしてやはり気になるのはジャクソンが使うギター。
カーキ色のES-335だったり、ダブル・ピックガードのJ-45だったりとどれも渋い。
しかしギター以上に注目してしまったのが、ブラッドリー・クーパーが様々なシーンで着ている衣装の数々。
もう着こなしが最高すぎて、ワントーンで極めた服や茶デニムジャケット、ブラック・デニムの着こなしなどどれもかなりツボ。(参考にしようっと。けどあぁはならない…。)
過去の3作品のいい所を上手くオマージュしつつオリジナルの良さも感じさせた2018年版。
監督・ブラッドリー・クーパーの今後もまた楽しみとなる作品でした。