※ネタバレ注意
今日は「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を鑑賞。
この作品は、ゴジラの生態を研究する特務機関モナークの施設をテロ集団が襲い、開発中である怪獣たちとの交信機"オルカ"を強奪。
世界中にいる怪獣たちを目覚めさせてしまう…というハリウッド版ゴジラの最新作。
監督&脚本はマイケル・ドハティ。
出演はカイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、サリー・ホーキンス、渡辺謙、チャン・ツィイー他。
2014年に公開された「GODZILLA ゴジラ [2014]」の続編にして2017年公開の「キングコング:髑髏島の巨神」に続く"モンスターバース"の第3弾がいよいよ公開!
前作で現代に甦ったゴジラをはじめ、モスラ、ラドン、キングギドラといった東宝版の怪獣たちが登場することでも話題に。(最初に"東宝"のロゴが出た時は「おー!」となった)
正直、"ゴジラ"シリーズは全作観ておらず(全35作品!何作かは一応鑑賞)、それほど怪獣マニアでもなく、ゴジラにロマンも感じていませんが、そんな自分が観ても本作は凄かった!!
まず2014年版のゴジラは54年版のゴジラへのオマージュを入れつつ、人間ドラマを深く描いた良作でした。(「シン・ゴジラ」なんかよりはるかに面白い!)
本作でも54年版をはじめ、日本で作られたゴジラ作品へのオマージュをふんだんに取り入れ、「本当にゴジラ作品が好きな人が作ったんだなぁ」と感じさせる作品でした。
ベースとなったのはおそらく1964年に公開された「三大怪獣 地球最大の決戦」。
各怪獣の設定等は、本作の為に変更されてはいましたが、怪獣たちのバトルへ向かうまでのカタルシスが見事!
人間ドラマの部分は前作同様、しっかり描かれてはいたものの、2014年版ほどドラマ性は深くは無く、これは怪獣たちのバトルがメインで描かれていた為やむを得えない部分か。
それでもしっかりとしたテーマがあり、特に素晴らしかったのは本作をリードするカイル・チャンドラー演じるマークとヴェラ・ファーミガ演じるのエマの存在。(カイル・チャンドラーはピージャック版「キングコング」にも出演してるんだよなぁ~)
なぜエマは人類を危険にさらしながらもテロ行為に加担したのか?
なぜマークはゴジラを憎むのか?
この部分がしっかり描かれていて、マークは2014年版での惨劇で息子を失いゴジラを恨みます。
そのためゴジラと共存しようとモナークを脱退したという過去が。
一方エマもモナークの科学者で、息子を失うも怪獣たちを呼び覚まして地球を人間から救おうとテロ行為に加担。(テロ行為ではあるものの、エマの主張は正論。地球にとって増えすぎた人口はもはや害でしかない。)
しかしこのお互いの持つ目的(冒頭、マークは怪獣たちを怨み、家族を守ろうとする。エマは人類を犠牲にしてまでも怪獣たちを目覚めさせ地球を浄化しようとした)が冒頭とラストで全く入れ代わっているという見事すぎるストーリー運びが特に秀逸!(ラストではマークは怪獣たちとの共存を受け入れ、エマは家族を守ろうとする)
水中酸素破壊剤オキシジェンス・デストロイヤー(54年版へのオマージュ)を使い怪獣たちを殺そうとした人類。
芹沢猪四郎(渡辺謙)が核を使い再びゴジラを目覚めさせようとするシーンは54年版とは真逆になっていたのも素晴らしい!(敢えて54年版との対比にしている)
これには深い意味が感じ取れ、日本人である芹沢猪四郎が核を使いゴジラを目覚めさせたことは被爆国から立ち上がった日本人のメタファー(劇中、芹沢が動かない懐中時計を見るシーンがある=原爆被害にあった芹沢の父親の形見であり、時計の針は8時15分を指している。つまり日本人のメタファー)、芹沢猪四郎の最後の言葉を「さらば、友よ」とわざわざ日本語で表現した渡辺謙氏(監督にこの部分をぜひ日本語で言わして欲しいと直談判)も日本人がこれまで65年間"ゴジラ"作品と一緒に歩んできた(楽しんできた)歴史を踏まえ、ゴジラに対峙した際"友"として表現したのではないでしょうか。("GODZILLA"の発音も2014年版同様、芹沢博士だけが"ガッズィーラ"ではなく"ゴジラ"と発音)
人類がゴジラを神として崇め、共存していこうとする描写(「シン・ゴジラ」は"共存"というセリフこそ出てきたものの、原発のメタファーだったゴジラに対し、最後でなぜそのセリフに行き着いたのか全く描かれてなく、急に"共存"という言葉で無理矢理締めくくっている。冒頭の牧博士のことも全く回収されていない。ご都合主義だらけの作品)はゴジラの英語表記にもあるように"神"の文字が含まれていて(GODZILLA="GOD"ZILLA)、前作では"悪"だったゴジラが"神"になった瞬間を描いた35作品の中でも特に意味のある作品だったように感じます。
で、個人的に驚いたのが、唯一2014年版からの続投だったキャラクターの芹沢猪四郎とヴィヴィアン・グラハム博士(サリー・ホーキンス)が本作で死んでしまうということ。
このシリーズで重要だった二人のキャラクターが居なくなることで来年公開の「ゴジラvsコング」への伏線がどうなるのか…。(「ゴジラvsコング」に出演する小栗旬が芹沢の後継ぎ的な存在!?)
そして気になったのはラストで再び怪獣たちの王となったゴジラの周りに集まった怪獣たち。
その中に何と2014年版の敵だったムートーの姿が!(これは少々ガッカリした…あとモスラにやられて死んだと思っていたラドンも生きていた!)
劇中「17体の怪獣がいる」とされ、画面には世界中の怪獣たちが目覚める様子がモニターに映るのですが、ラストでゴジラの元に集まらなかった怪獣たちもおり、これが今後のモンスターバースへの伏線になりそうな予感。(山が動き出したシーンは多分アンギラス??)
印象的だったのが緻密に練られたカメラ・アングルやカメラ・ワーク。
凄い動きのカメラ・ワークに加え、怪獣登場シーンの見せ方がめちゃくちゃ幻想的!
そしてバックで流れる音楽も伊福部昭氏のあのテーマをはじめ、モスラやキングギドラが登場するシーンでも"あのテーマ曲"が流れるなどかなり熱い!
ちなみに渡辺謙氏が演じる芹沢猪四郎博士。
これはもう54年版の芹沢大助博士と同作品を監督した本多猪四郎の名前を冠したキャラクターで、日本人には特別な存在。
こういう細かい設定も"ゴジラ愛"を感じます。
ハリウッドが本気でこれほどまでの作品を作ったら、もう日本は何しても勝てないよね…。(だからアニメ版が誕生したのか!?)
で、話は逸れるが、久しぶりに見たチャン・ツィイーのショートカット姿に萌え~( *´艸`)
来年3月は遂に"王vs王"のバトルが拝めます!(ラストでゴジラとコングが昔、戦っていたことを表す壁画が映る)
62年版「キングコング対ゴジラ」を観て予習(復習?)しなければ!