※ネタバレ注意
今日は「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」を鑑賞。
この作品は「アベンジャーズ:エンド・ゲーム」のその後を描いたシリーズ第2弾。
監督はジョン・ワッツ。
出演はトム・ホランド、ゼンデイヤ、ジェイコブ・バタロン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョン・ファブロー、ジェイク・ギレンホール他。
2年ぶりとなるソロ作品第2弾。
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」から始まったフェーズ3が本作で終了します。
予告ではエレメンタルズやミステリオが登場しており、特にミステリオがヒーローぽく描かれていたのがずっと気になっておりました。(ミステリオは原作ではヴィラン。)
「アベンジャーズ:エンド・ゲーム」が予想を上回るほどの傑作だったので、これをどう展開させるのか正直不安でした。
しかし!
そんな心配は必要なかったほど本作はもう色んな場面で驚きの連続。
「アベンジャーズ:エンド・ゲーム」の余韻を見事にぶっ飛ばしてくれた良作でした。
原作でヴィランだったミステリオは本作でやはりヴィランでしたが、ヴィランになる伏線が「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でトニーが発表した過去の記憶を映像化するシステムBARF(冒頭でトニーが両親の思い出を映像化)まで遡って描かれていたことに驚き。
原作とは少し違う設定のミステリオでしたが、まさかここでその伏線を持ち出し、本作に絡めたプロットが凄い。
元スターク・インダストリーの社員でトニーに恨みも持っていたベック。
本来ならトニーへの復讐に執念を燃やすだろうが、このプロットにした為にスパイダーマンへの敵意は少しズレてる気がしたのが残念だが、"トニーの死"や"ヒーローか親愛なる隣人か"で悩むピーターをより成長させる為には文句無しのヴィランでした。(原作のミステリオはデイリー・ビューグル社がスパイダーマンを悪と報道したのを見て、自分がスパイダーマンを捕らえヒーローになろうとした)
それにしても「アイアンマン」のアイアンモンガーや「アイアンマン2」のウィップラッシュ、「アイアンマン3」のキリアン等トニーって他のヒーローたちと違い、ヴィランを次々新しく生み出してしまう人物やん…。(DCの「バットマン」のセリフを思い出します…バットマンがいるから必ず悪が生まれるという…)
そして謎だったサノスの指パッチンで消された人と生き残った人との5年間の時間差は冒頭できちんと説明されていて、すんなりと物語に入っていけました。(ってかMJをはじめ、ネッドやフラッシュ、ロジャー先生等の前作キャラクターたちは全員消されてたってことか…)
本作は"ピーターがトニー・スタークの死を乗り越え成長する"ということが基本プロット。
まずピーターは過去にベン叔父さんを亡くしていて、父親のような存在だったトニーの死を受け入れずにいます。
そして自分がトニーのようなヒーローとしてやっていけるのかという責任に悩みます。(前作では若さ故にヒーローになりたがって行動していたのに対し、本作ではヒーローとして活動をしたくない)
この葛藤が上手く描かれていて、特に冒頭で荷造りしているピーターにメイおばさんがバナナを投げ、それを避けきれない描写に現れています。
これはピーターが様々な葛藤によりスパイダー・センスを失った為の描写で、この他にも色んなシーンでスパイダー・センスを無くしたピーターが見られます。
トニーから託されたサングラスをベックに渡してしまった後悔や自分の行動への自信を無くしたピーターはハッピーに諭され決意。
新しくスパイダー・スーツを作るピーターはまさにアイアンマンの後継者のように見え、何ともいえない気持ちに。(その姿を見て、我々観客もトニーの死を引きずっていたんだと実感。ヒーローとして覚悟を決めた迷いの無いピーターがたくましく見えた。)
そのスパイダー・スーツを作る際、ハッピーがBGMを流します。(「BGMは任せとけ!」と言いながら。トニーも音楽を流しながらスーツを開発していた。)
そして流れたのがAC/DCの"Back In Black"!
そのハッピーに対し、ピーターが「ツェッペリン最高!」と言ったのが最高でした。(世代のギャップ。ピーターはAC/DCも知らない。つまりハッピーに気を使い、とりあえず昔のバンド名を言ってみせた。)
本作で疑問だった点が一つ。
ミステリオがピーターに自己紹介した際に「アース833から来た」と言ってました。(ピーターたちがいる地球がアース616)
原作でもこのアース833は登場しており、ベックはマルチバースの世界を知っていたのか!?
結局噂されていたマルチバースの世界は本作では描かれていませんでしたが、フェーズ4からの展開に期待。(当然、X-MENシリーズもこのアベンジャーズに絡んでくるようになる!?)
恒例のエンドクレジットの映像でもまた更に驚きの伏線が!
まず一つ目の映像はデイリー・ビューグル社がスパイダーマンの正体はピーター・パーカーであるということを明かしてしまう映像。
画面にはデイリー・ビューグル社のJ・ジョナ・ジェイムソンを演じたJ・K・シモンズの姿が!
J・K・シモンズはサム・ライミ版でも同役を演じていて、SONY版とMCU版2作品で同じ役を演じるというファン感涙のサプライズ演出となりました。(ある意味マルチバースだわ)
もう一つはニック・フューリーの正体が実はスクラル人のタロス、マリア・ヒルの正体が妻のソレンだったという事実!
本作で登場したニック・フューリーとマリア・ヒルは全て彼らが演じていたということか!(なので劇中、エレメンタルズと戦いたくないピーターが次々にヒーローたちの名前を言う中、キャプテン・マーベルの名前を出した瞬間ニック・フューリーは「言うな!」と言ったのか…。スゲー伏線だな。)
本物のニック・フューリーは休暇を取っていたと思わせといて、スクラル人たちの宇宙船にいた描写が。
では何故ニックがスクラル人たちと宇宙にいたのか?
これが今後の作品への伏線となりそうです。(MCU作品の過去作でもまだまだ残されている伏線は存在。例えば「ガーディアン・オブ・ギャラクシー:リミックス」のオマケ映像に登場したアダム・ウォーロックの存在や「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」で一瞬登場したセレスティアルズやそこからのエターナルズ等。)
前作「スパイダーマン:ホームカミング」のラストで出たスコーピオンが本作で登場か?と思っていたら登場せず。
これも含めて3作目以降に期待です。
スタン・リーの出演は残念ながら無かったものの(見逃したかも!?)、見事に「アベンジャーズ:エンド・ゲーム」を越える作品を作ったジョン・ワッツ監督。
サプライズ感でいえば「アベンジャーズ:エンド・ゲーム」を軽く凌駕し、"スパイダーマン"シリーズでは「スパイダーマン:スパイダーバース」と並ぶほど素晴らしい作品でした。