※ネタバレ注意
今日は「ターミネーター:ニュー・フェイト」を鑑賞。
この作品は世界的に大ヒットした「ターミネーター」シリーズの最新作。
監督はティム・ミラー。
製作はジェームズ・キャメロン。
出演はアーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィス他。
シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンが製作でシリーズ復帰を果たしたことに加え、2作目以降出演がなかったリンダ・ハミルトンの出演で公開前から話題となった作品がいよいよ公開!
2作目以降の作品はいわゆる"黒歴史"とされ、前作「ターミネーター:新起動/ジェニシス」はこれまでで一番ひどい作品だと個人的にも感じ、「ターミネーターはもういいや…」と思ってましたが、ジム&リンダ・ハミルトン復帰(しかも元夫婦!)はやはり期待大。
で、鑑賞した感想は~……ファンにただただ気を使っただけの続編のように感じました。
まず今年のコミコンでファンが騒然となったのが今回の出演者の中にジョン・コナーを演じたエドワード・ファーロングの名前があったこと。
で、作品を観ると…まさかあんな登場の仕方だとは…。(まぁ現在の彼の姿を見たらあのような形での出演は仕方ないか…。)
そして本作は過去作へのオマージュがかなり多い!
オマージュというよりはどれも似たようなシーンばかりで目新しさはほぼ無し。
とにかく本作の構図がモロに「ターミネーター」と「T2」のまんま。
人類の未来を握る人物ダニーはいわばジョン・コナーと同じ設定で、そのダニーを守る為に未来からやってきた強化型戦士グレースはマイケル・ビーンが演じたカイル・リースそのもの。
T-1000の進化系みたいなのがREV-9。
本作のサラ・コナーは「T2」で溶鉱炉に沈んだT-800と同じ立ち位置でダニーを守る設定~と、このようにただ人物を入れ換えただけ。
おまけにT-800がジョンを殺し、目的が果たされたスカイネットは未来で消滅し、代わりに"リージョン"というAIが脅威となる訳です。
そして今回で最後と語っていたシュワちゃん演じるT-800の年老いた姿が印象的でしたが、何故ターミネーターが老けるのか?というのが謎のまま。(一応4作目の「ターミネーター4」で人間の皮膚をスカイネットが研究していた描写はあったけど、3作目以降の作品と本作との関連性は一切無し。あくまでも「T2」の続きという位置付け。)
劇中、ジョンを殺害したT-800は「目的がなくなった」と語っていて、新しい家族を持つことで"生きる意味を見つけた"と言っていましたが、「T2」でのT-800はジョンと行動を共にすることで様々なことを学習し、人間の感情を機械が理解していく過程をうまく表現していました。
しかし今回ジョンを殺害した後で家族を持ち幸せに暮らしている理由としては少々苦しい。(つまりジョンには人類のリーダーとしての資質が子供の時から備わっていた。)
ターミネーターか人間かを見分ける手段として"犬"がなつくかどうかという設定がありますが、T-800に犬がなついていたりと変なツッコミ所もたくさんありました。
舞台がメキシコっていうのはトランプ政権によるメキシコとの国境問題を作品に落とし込んでいます。
冒頭でダニーたちが働く工場で、弟が解雇され、代わりにロボットが導入される描写はまさに人間の代わりにロボットが台頭していくというメタファー。(もちろんT-800が家庭を持つというのもその延長線上のメタファー)
アクション・シーンではトラックでダニーたちを追いかけるREV-9をはじめ、こちらも"何か見たことのあるシーン"の連続でしたがそんな中、飛行機の中での無重力バトル・シーンは新鮮!(こういうのを待ってた!)
最近の映画に多い"フェミニズム"を全面に出した本作。(サラをはじめ、未来の重要人物ダニーも強化型戦士グレースもみんな女性)
ファンが待ち望んだのはこんな続編ではない!(確かに「ターミネーター」は強い女性を描いた最も初期の作品の1つではありますが。)
冒頭のジョンが殺されるシーンをわざわざ見せておいて、その後のシーンからはこれまでの出来事が無かったことのように話が進む展開に"「T2」の正統な続編"って謳っているのはやはり違和感…。
その証拠にアメリカでは既に大コケ。(3作目以降では最低の興行収入らしい…)
3部作の構想がある本作でしたが(また3部作構成??一体何度目だ!)、この様子だと今回も3部作未完成で終わりそう…。
ターミネーターが作品自体をターミネート(終わらせる)した訳ですね。