
※ネタバレ注意
今日は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を鑑賞。
スカイウォーカー家の壮大なサーガの完結、そして新3部作最後の作品。
監督&製作&脚本はJ・J・エイブラムス。
出演はデイジー・リドリー、アダム・ドライヴァー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、マーク・ハミル他。
全世界待望のシリーズ最新作がいよいよ公開!
しかし、やはり……というか予想していた通りのプロット…。
正直、こんな"スター・ウォーズ"は観たくなかった!
「スター・ウォーズ」シリーズを他の誰よりも愛してると自負しているだけに敢えて言わせてもらうけど、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」から始まる新3部作は"スター・ウォーズ"の歴史の中で黒歴史となってしまいましたね。
そもそも(何度も言ってるが)ジョージ・ルーカスの脚本を採用しなかったことに加え、ルーカスを一切関与させなかったディズニー。
そしてJ・J・エイブラムスをはじめとする起用された監督選び(J・J・エイブラムスや8作目のライアン・ジョンソン監督、そして今回9作目を担当するはずだったコリン・トレボロウは製作途中で降板、後にJ・Jが引き継いだ)等、常にディズニーは"失敗しない"作品作りに徹してしまい、結果全ての新シリーズは"どこかで見たシーン"の連続となりました。
元々、J・J・エイブラムス自体が保守的すぎるというのもありますが、完全に旧シリーズのキャストに依存してしまう形での新シリーズだったように感じます。(それはJ・J・エイブラムスが監督した"スタートレック"シリーズでも顕著に。)
本作が特に保守的だったのは、前作でめちゃくちゃになった"スター・ウォーズの世界観"(特に"フォース"の概念。"フォース"がただの魔法と化してしまった…)をただ必死に取り戻そうとしているのが様々なシーンに表れています。
その証拠に本作のプロットもほぼ「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」と同じ。
特にパルパティーン(ダース・シディアス)がレンにレイを連れて来るように命令するシーンは「スター・ウォーズ/ジェダイの帰還」と全く同じだし(ベイダーにルークを連れて来るように命令。前作でもスノークが同じようなことしてたなぁ…)、これまでレイには謎だった出生の秘密が明かされ、葛藤するレイの姿はベイダーが父親だと分かり苦悩するルークと同じ。
前作でルークの娘ではないことがわかったレイですが、本作公開前の予告でパルパティーンが登場した時点で「あ、レイはパルパティーンの娘か孫の設定だな」って読めてしまったし、そもそも今回のパルパティーンの設定がおかしい!
劇中、パルパティーンがレイに「私を殺して新しく玉座に~云々」というセリフがありましたが、パルパティーンはそんなキャラクターではない!
過去、自身が銀河共和国を乗っ取るために画策し、強いフォースを持つアナキンをダークサイドに誘い、自分の弟子とするためにドゥークー伯爵を殺すように命令したり、さらに強いフォースを持つルークの存在に気付くと、今度はルークに父親を殺すように命令したりと必ず他の弟子を殺させて新しい弟子を手に入れるほど自身の地位に執着するキャラクター。
自身が犠牲になるようなキャラクターではありません!
おまけに劇中で、パルパティーンはレイが自分の脅威となることを恐れ、部下を差し向けレイの両親を殺そうとしていたことが語られていたはず!(両親は部下に捕まる前にレイを惑星ジャクーに隠した)
なので、レイを女帝にする設定がもう辻褄が合わない!
そしておそらく鑑賞した全スター・ウォーズ・ファンがツッこんだであろう一番最後のレイのセリフ……。
「何でお前がスカイウォーカーを名乗るんだよ!」ってこと。
じいちゃんはパルパティーンだろうけど、レイの両親はそのじいちゃんからレイを守ってくれてた訳でしょ?
その両親の存在は無視で、結局パルパティーンの血を捨てて伝説のスカイウォーカー家の血を選んだレイって……。
そこで「レイ・パルパティーン」と名乗ってくれた方がよほどジェダイに翻弄されず"自分らしく"生きる象徴となっただろうに…。
そしてこのラストにより、前作のラストで奴隷の子がフォースを使い、ホウキで掃除しながら宇宙(そら)を見上げるシーンが完全に否定されたこととなります。
このシーンはフォースは誰にでもあり、普遍的なものであるという意味を持っていて、スカイウォーカーの血を継いでないレイの存在をより強調とするシーンになるはずでした。
その他にもツッこみ所は多く、挙げたらキリがない…。
フィンに関しては最初の扱いから一変し、完全に脇役扱い。(旧シリーズで言うところのソロの立場。元ストーム・トルーパーで、追われる身なのはソロと共通…だったはずが存在感もなくなる。フォースを感じたのは一体何だったの!?)
前作の出演後のSNSのコメントで大炎上となったローズ役のケリー・マリー・トランも今回ディズニーが観客のバッシングを恐れ主要メンバーから外し、おかげでフィンとの関係があやふやに。(前作でのローズの出演シーンもかなり不評だった)
ハックス将軍がレジスタンスのスパイだったというシーンもかなり強引で、過去作にその伏線すらない…
前作でカイロ・レンに対して面白くない表情を見せつつもスターキラー基地で惑星破壊しようとしたりと完全にスパイ失格!(←この"実はレジスタンスのスパイでした"設定はかなりのご都合主義。どうせならレンを殺して自分がのしあがろうとして殺された設定の方がまだマシ)
レイ、フィン、ポーは旧3部作のルークとレイア、ソロみたいな関係(絆)を期待してたけど、結局物語はレイとレンの物語と化してしまい、最後に意味わからんキス・シーン。(見つめ合った時に「どうかキスしませんように…」と心の中で願ってたけど、してしまった…)
あとファースト・オーダーとファイナル・オーダーとの境目があやふや。
帝国軍の残党をスノークがまとめたのがファースト・オーダーでしたが、秘密裏でパルパティーンがファイナル・オーダーを作り上げようとしていた意図がわからない。
スノークもパルパティーンが作ったと言ってましたが、「は?」って感じ。(そんなことする理由がわからん…スノークの失敗作みたいなのが何体か見えてて正直萎えた…)
ダース・プレイガスでもなかったし…。
そんな中、レンの描き方は徐々に良くなったように感じました。
愛が誰よりも深かった為に歪んだアナキンに対し、愛されたはずなのに愛を受けきれず歪んだレン。
そのレンのもどかしい葛藤は本作の中では唯一白眉。
ラストのエンドアのイウォークやタトゥイーンのルークの家のシーンもわざわざ出さなくていいし、新3部作は全ての"スター・ウォーズ・ファン"にただただ気を使って作り上げただけのように感じました。
個人的に「あっ!」と思った小ネタが、ラストでマズ・カナタからチューイにメダルが渡されたシーン。
「スター・ウォーズ/新たなる希望」のラストでメダルを授与されるルークやソロ。
しかしチューイだけはメダルをかけてもらえませんでした。
ファンの中では有名となった謎の一つですが、本作でレイアはマズ・カナタにメダルを託し、あれから30年以上経ち、ようやくチューイにメダルが渡されたのでした。
ランド・カルリジアンの登場も嬉しかったけど、本作はやはりキャリー・フィッシャーの姿に涙。
前作の撮影終了後、薬物が死因で亡くなったキャリー・フィッシャーですが、本作の映像は7作目「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」での未使用映像を使用したんだとか。
ルークの死よりも、むしろレイアが居なくなったシーンで一つのサーガの終焉を感じましたね。(C-3POのセリフも今回は名セリフでした!)
ってな訳で期待していた最新作は完全にタイトルを意識しすぎた結果に。
ルーカスが常々言ってた「スター・ウォーズ・サーガはアナキンの贖罪の物語なんだよ」
この言葉が本当に空しい…。
最初の「スター・ウォーズ」から42年が経ち、映画の歴史そのものを変えた記念碑的作品は一旦終了。
それでもまだまだシリーズ化はされていきます。
現在放送中の「スター・ウォーズ レジスタンス」(「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の6ヵ月前が舞台)をはじめ、エンドアの戦いから数年後を舞台にした「マンダロリアン」が間もなく配信開始。(26日から)
「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」の前日譚で、ローグ・ワンのリーダーだったキャシアン・アンドーが主人公のスピンオフ・ドラマ、そして「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督によるスカイウォーカー家が登場しない別の3部作が現在企画進行中とまだまだディズニーによる荒稼ぎは止まりそうにありません。
May the Force be with You.